メルセデス・ベンツと聞けば、誰もが知る高級ブランドだが、アメリカでのプロモーション活動で大きなミスをやらかしてしまった模様。自社の新商品の革新性を伝えるために、ゲバラの有名な写真、「英雄的ゲリラ」のベレー帽の星を、自社のスリー・ポインテッド・スターに置き換えた。
スリー・ポインテッド・スター2
ラスベガスのコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で披露されたようだ。ベンツのバックには「Viva la revolucion革命万歳」の文字とともにゲバラ。こうして見ると、ゲバラがダイムラーの広報担当者に対して憤っているような気がする。

日本語ではこのニュースは扱われていないが、英語の記事では“thoughtless” and “stupid” 「軽率で愚か」だと手厳しく批判されている。同情はするが、thoughtless” and “stupid”に違いないw
CESは世界に向けて、自社製品をPRする場とはいえ、チェ・ゲバラを憎むアメリカ合衆国で行われるショーだ。アメリカの消費者、とりわけこういう高級ブランドを買う余裕があるのはご年配者だろうが、そういった層はキューバ革命をリアルタイムで見て来た。そしてマイアミには多数の亡命キューバ人がいる。このような事態は事前に予想しておくべきだろう。
スリー・ポインテッド・スター
the Cuban American community, including two U.S. lawmakers, who described Guevara as a "sadistic serial killer" who murdered thousands of men, women and children.
酷い言われようっすね。。。亡命キューバ人はゲバラをこのように捉えてるんですね。。。次の文面も過激
"It's a pathetic apology," Florida Rep. Mario Diaz-Balart, a Republican, said in an interview with FoxNews.com. "He [Guevara] was a cold-blooded killing machine" who "talked about using an atomic bomb to kill all capitalists."
「資本主義者をすべて抹殺するために原爆を用いる」なんてゲバラは絶対に言っていない。これは非常に大きな誤解ですね。ゲバラはアメリカの帝国主義に対して闘争心を燃やしていた。だからといって資本家を殺すとか、ましてや関係のない弱者をそんな風にするはずがない。ゲバラに対する憎しみは、世代を超えて再生産されているのだろうか。
Mercedes' apology for use of Che Guevara photo to promote luxury cars does little to quiet outcry
http://www.foxnews.com/
↓はマイアミ・ヘラルド。
Use of Che Guevara photo in Mercedes-Benz presentation causes stir
http://www.miamiherald.com/
当時CIA諜報員でプラヤ・ヒロン侵攻を指揮し、ボリビアでゲバラと対峙したフェリックス・ロドリゲスFélix Rodríguezがコメントしている。彼は三台もベンツを所有しているそうだが、もう買わないし友達にも買わないように言いつけるそうだ。ご立派なご身分なことだ。
In a comment he posted, Rodriguez said: “I know who Che Guevara was and he was a criminal, a murderer and a person who hated the United States of America.”

He said he has owned three Mercedes-Benz cars and planned to replace his current Mercedes. But because of the campaign, he will buy from another company.

I’ll never buy a Mercedes-Benz again and I am telling my friends to do the same,” he said.

↑の動画では、ベンツがドイツの企業で、ヒットラーの時代にナチスへの協力を槍玉に非難している。

車の革新性を伝えるために、ゲバラの写真が用いられたわけだが、結果的に大失敗に終わったベンツ。去年のこの時期にも別の企業だが、CMにゲバラを用いて話題になっていた。
2011.01.23 車のCMにカストロさんが登場w!?

若者は「革命」というイメージに惹きつけられてゲバラを消費するが、大概の人がゲバラの成し遂げたことを知らない。上記の英字新聞のような記述は事実と甚だしくかけ離れているが、ゲバラがバティスタ独裁の悪漢の処刑を執行したことは事実。グアテマラ革命の二の舞を案じたゲバラは、不安要素を事前に摘み取った。勿論、裁判は行われている。

今回の失態はゲバラのイデオロギーを考えず、イメージを消費したしっぺ返しの典型例だろう。
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たまたまLa Pastera Museo del Cheという、アルゼンチンのゲバラ博物館を運営しているHPで、日本の新聞記事が掲載されているのを発見した。
la pastera
発見してからずいぶん日にちが経ちましたが、まだ記事は健在のようです。
http://www.lapastera.org.ar/spip.php?article636
スペイン語で紹介されていますが、↑のページ内のPDFから閲覧可能。
司馬遼太郎の「坂の上の雲」は、僕の好きな小説のうちの一冊。この小説の大河ドラマが作られ続けて、今年で最終部を迎える。昨日はNHKで総集編をやってたのを観たんだけど、今日もたまたまBSかけてたら、ちょうど秋山真之がキューバへ赴いているシーンが映っていた。彼は観戦武官として米西戦争を視察していたのだ。彼がキューバに行かなければ、恐らく小説で扱われるまでの大物になっていなかっただろう。秋山はサンティアゴ・デ・クーバ湾で行われた作戦から閉塞作戦の有効性と問題点をまとめ論文を書いた。それは後に日露戦争における日本海軍の旅順港閉塞作戦に応用された。

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↑旅順↓bahia de santiago de Cuba。どっちも閉塞作戦にぴったり。

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NHKドラマのナレーションは以下のように、解説していた。
多少、神秘的に言えばアメリカとスペインが日露戦争の旅順港閉塞作戦の雛形を秋山に提供してくれるために、闘ってくれたようなものである。天が秋山をキューバへ遣わせた謂れである。
秋山は世界でもっとも熱い独立闘争の地、サンティアゴ・デ・クーバで、日本の独立維持のために日露戦争を勝利へ導いた海戦の理論を築いたのだ。

ドラマ内で米西戦争の勃発を聞いた秋山は、アメリカ軍人が「きっかけが必要なんだよ」と言っていた事を思い出すシーンが、フラッシュバックで描かれていた。戦争には大義名分がいる。1898年2月15日に起こったハバナ湾でアメリカ海軍の戦艦メイン号爆破事件は、真相が不明のまま、この爆破の犯人はスペインだと勝手に決め付けられ、それがアメリカ介入の大義名分になった。実際にアメリカが手を下したかどうか、今となっては分からず仕舞い。ただ、状況証拠、そしてその後の歴史が示すようにアメリカが明らかに怪しい。例えば、ベトナム戦争の勃発の大義名分がトンキン湾事件という茶番だったように。。

米西戦争以前から、キューバは宗主国のスペイン相手に闘って来た。キューバの独立は長年の悲願だった。それをアメリカの介入によって横取りされたのだった。そして、この戦争から約半世紀後、マキシモ・ゴメス、アントニオ・マセオそしてホセ・マルティらかつての独立戦争の闘志の意志を受け継いだ革命家、フィデル・カストロが、民衆からの圧倒的な支持を得て真の独立を勝ち取ったのだ。これを煙たく思ったアメリカは、2度目の「メイン号事件」を起こすことを企んだ(但しこれも証拠がない)それが、1960年3月5日に起きたフランス船ラ・クーブル号爆破事件だ。この時にあの有名なゲバラの写真が撮られた。僕にはあの「ゲリラの英雄」と名づけられた写真のゲバラの瞳からは、長年キューバを汚いやり口で苦しめてきた北アメリカの帝国主義に対して憤った、ゲバラの闘志が読み取れる。
443px-CheHigh.jpg

ちょっと脱線したが、「坂の上の雲」の時代はこうしてみて見ると、ちょうど米西戦争の時期と重なる、つまり世界中が帝国主義に覆われていたことを改めて気づかされる。日露戦争は、日本を征服しようと南下してきたロシアの帝国主義に対する闘いだった。もし、日本が負けていたら対馬には軍事要塞が築かれ、ロシアは容赦なく日本領土を蹂躙していただろう。また、多額の借金を国家がしてたから、その取立てからも苦しんだことだろう。佐世保や横須賀は、ロシアが占領して属国化していく。。。そう考えると、祖国の先人の方々がロシアの帝国主義を打ち破ってくれたことの重みが感じられる。もっとも、日露戦争では乃木将軍のような指揮官が無用に多くの血を流させもしたが。

秋山兄弟のように、純粋に国家のために働ける人が、21世紀の日本に待望される。つい先ほど、明治維新を思わせる名称を掲げた「維新の会」橋下氏・松井氏が当選確実となった。こんなご時勢だからこそ、民衆は浪漫を求める。僕は聊か懐疑的だが、大阪から日本を一新する「大阪都」どこまで真剣に練られた構想なんだろうか。

それはともかく「坂の上の雲」の最終部が放送されるのが楽しみだ。
先週の朝日新聞の夕刊で、「アルゼンチンゲバラ」という全4回の連載があった。ゲバラの祖国では軍事独裁政権化では、ゲバラの単語を放つ事すら出来なかったという厳しい状況が続いていたことを伝えていた。今は左派政権に変わり、アルゼンチン中でゲバラの再評価が進んでいる。連載の中でも興味深かったのは、ゲバラ兄弟の末っ子のマルティンさんが中心となって、Caminos del Che(チェの道)というプロジェクトを進められている事だ。このことはまた別の記事で触れようと思う。今日は、朝日の夕刊の連載に倣って「アルゼンチン人としてのゲバラ」というテーマで記事を書こうと思う。
アルヘンチーナゲバラ


キューバ革命を勝利に導いたゲバラは、革命政府の特別措置によってアルゼンチン人でありながらキューバ国籍を取得した。だからチェ・ゲバラはキューバ人のイメージが強い。しかし、エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナの第一の故郷はアルゼンチンなのだ。

といっても、国連総会など国際舞台で演説する機会があったチェ・ゲバラは、他国の代表からキューバ人として見られていたに違いない。国連の壇上に立つ以上、国家の看板を背負っていし、ゲバラもその事は勿論、承知していただろう。それでも、ラテンアメリカが一致団結する事を志向していたゲバラを、国籍などで縛られるはずもなかった。そのことを象徴しているひとコマが、以下で紹介する演説だ。

↑これは一回目の演説で、先の記事で紹介した。
2010.08.23 チェ・ゲバラ 国連での帝国主義に対する非難

この一回目の演説に対して、他国の代表がケチをつけたんですが、今日、紹介するのはそれに対するゲバラの反論。

↑この動画も僕の自作動画だと思われる方もいるかもしれないが、これはこないだ偶然見つけた動画。ちょっと日本語字幕が翻訳機械使ったようで残念ですが、全文聞けるのが嬉しいっすね!
以下で、聞いていく箇所は6分過ぎたぐらいから。訳文はいつもどおり、意訳で、末尾に原文リンクを掲載しておきます。

Con respecto a Nicaragua queríamos decir a su representante, aunque no entendí bien con exactitud toda su argumentación en cuanto a los acentos -creo que se refirió a Cuba, a Argentina y quizás también a la Unión Soviética- espero en todo caso que el representante de Nicaragua no haya encontrado acento norteamericano en mi alocución porque eso sí que sería peligroso.
ニカラグワ代表にお答えしたい。だが、私は彼の主張を正確には理解できなかった。彼が言及した私の訛りとは、恐らくキューバアルゼンチン、あるいはソビエト連合の事であろうが、いまひとつ分からない。いずれにせよ、彼が私の演説の中に、北アメリカの訛りを見出さなかった事を願いたいものだ。まったくもって、そんなことであるなら、危険な事態になるからだ。

Efectivamente, puede ser que en el acento y que utilizara al hablar se escapara algo de la Argentina. He nacido en la Argentina; no es un secreto para nadie. Soy cubano y también soy argentino y, si no se ofenden las ilustrísimas señorías de Latinoamérica, me siento tan patriota de Latinoamérica, de cualquier país de Latinoamérica, como el que más y, en el momento en que fuera necesario, estaría dispuesto a entregar mi vida por la liberación de cualquiera de los países de Latinoamérica, sin pedirle nada a nadie, sin exigir nada, sin explotar a nadie.
たしかに、私にはアルゼンチン訛りがあるのかもしれない。私はアルゼンチン生まれだし、そのことは誰にも内緒にしていない。私はキューバ人であり、アルゼンチン人でもあるのだ。もしこういって、ラテンアメリカの高貴な方々の気に障らないなら、私はラテンアメリカ中の国々の愛国者だと感じている。もし必要な時になれば、私は誰に何を求める事もなく、何かを迫る事もなく、誰かを搾取することなく、ラテンアメリカ中の国々のために自らの命を投じる覚悟である。



これぞインターナショナリズム!どうやらニカラグワ代表にゲバラのアルゼンチン訛りに対して、ケチをつけられたらしい。それに対してゲバラが誠実な姿勢で対応したのが、上記の箇所。ラテンアメリカはブラジル以外、スペイン語を話すから一致団結しやすい。共有している価値観も、ぼくらアジア人から観れば似通っている。ゲバラは無意味な国境線を越えて、ラテンアメリカでまかり通っている不正に対して立ち向かってるんだけど、そこへ訛りを持ち出してケチをつけてくる人がいるんですね。。。

ゲバラが掲げた国際主義は、キューバ全体が共有している価値観でもある。そのことは、上記の演説に続く以下の演説から読み取れる。

Y así en esa disposición de ánimo, no está solamente este representante transitorio ante esta Asamblea. El pueblo de Cuba entero está con esa disposición. El pueblo de Cuba entero vibra cada vez que se comete una injusticia, no solamente en América, sino en el mundo entro. Nosotros podemos decir lo que tantas veces hemos dicho del apotegma maravilloso de Martí, de que ”todo hombre verdadero debe sentir en la mejilla el golpe dado a cualquier mejilla de hombre”. Eso, el pueblo entero de Cuba, lo siente así, señores representantes.
このことについては、この国連総会に臨んでいる臨時代表である私だけの意思表示ではない。キューバ人民全体の意思である。キューバ人民は皆、アメリカにとどまらず、世界中で不正が起こるたびに、震え上がるのである。我々が何度も引用してきたマルティの名言を紹介しよう。”誠実な人間であれば誰であっても、他の誰かが頬を殴られた痛みを、自分の頬に感じ取るに違いない”。キューバ人民はみんな、このように感じ取るのです、代表の皆さん。



原文全文は下記のページに掲載されています。
Intervención en la Asamblea General de las Naciones Unidas en uso del derecho de replica. 11 de diciembre de 1964
http://www.eln-voces.com/webanterior/Pensamiento/Che/Index.html



今年の共産党大会で自由化の改革案が決定されたが、今回の改革は最も大きなものと言えよう。革命以来、人民の不動産の所有権は文字通り不動であり、それは売買することが許されないという制約も伴った。

大きな改革なだけに、NHKも取り上げている。以下、NHKより

キューバ 初の住宅売買解禁へ
社会主義国のキューバで、1959年の革命以来初めて、住宅の売買が解禁されることになりました。
社会主義国のキューバでは1959年の革命以降、住宅の売買は禁止されてきましたが、3日付けのキューバ政府の機関誌によりますと、今月10日から住宅の売買や譲渡が認められることになりました。売買ができるのは、1人につき住宅2軒までで、キューバに住む国民と永住権を持つ外国人に限って認められるということです。販売価格の4%が税金として買い手と売り手の双方にかけられるということで、キューバ政府は歳入の増加を見込んでいます。慢性的な経済危機に苦しむキューバは、ことし4月の共産党大会で市場原理を部分的に導入することを決めていて、住宅の売買解禁は、先月、解禁された自動車売買に続く改革の柱です。こうした改革について多くの国民は歓迎していますが、その一方で、市場原理の導入が貧富の格差を広げ、社会不安を引き起こすのではないかという懸念の声も上がっています。



CubaDebateにも新しい公報と共に、掲載されている。
Cuba autoriza la compraventa de casas desde la próxima semana (+Gaceta)
キューバで不動産の売買が認可される、発効は来週から
以下は、掲載されていた公報。
1-pagina-de-la-gaceta-oficial-no-35.jpg
余談だが、このCubaDebateの記事にキューバの官報と法律文章を読めるサイトへのリンクを発見しました。
Pagina web de la Gaceta Oficial de la República de Cuba
キューバ共和国憲法も閲覧できます。Constitución de la República de Cuba
気になったのはDECIDIDOSの項で、カストロさんの名前が記されていること。
a llevar adelante la Revolución triunfadora del Moncada y del Granma, de la Sierra y de Girón encabezada por Fidel Castro que, sustentada en la más estrecha unidad de todas las fuerzas revolucionarias y del pueblo, conquistó la plena independencia nacional, estableció el poder revolucionario, realizó las transformaciones democráticas, inició la construcción del socialismo y, con el Partido Comunista al frente, la continúa con el objetivo final de edificar la sociedad comunista;
グランマ号でキューバへ上陸。シエラマエストラでのゲリラ戦で勝利を収め、その後はプラヤ・ヒロンで帝国主義の政府転覆の企ても撃退した。その革命政府の指導者カストロさんのリーダーシップの下、共産主義を目指して邁進する意のことが記されている。
しっかりカストロさんの名前が明文化されているんですね。これを独裁的と捉えるかどうかは、人それぞれだろうけど、革命前のキューバの惨状を起死回生させたのはカストロさんのリーダーシップによるところが大きいことは確か。憲法に明文化されている以上、第一書記の地位から離れてもその存在が影響力を持つはずだ。

アメリカはこの憲法の文章を変えようと、半世紀以上キューバに挑み続けている。その執着心は先日見た以下の記事からも伝わってくる。以下、時事通信社

カストロ前議長「去るべきだ」=キューバ民主化支援を続行-米国務長官
【ワシントン時事】クリントン米国務長官は27日、下院外交委員会の公聴会で、キューバのカストロ前国家評議会議長に関し、「去るべきだ」と述べ、カストロ体制の終結を求める立場に変わりはない点を強調した。また、同国の民主化に向けた支援を続ける方針を示した。
 カストロ前議長は2008年2月、病気を理由に議長職を弟のラウル・カストロ氏に引き継いで引退。今年4月には共産党第一書記も降りたが、影響力は保っている。(2011/10/28-06:15)


英語の記事ではneeds to go意訳すればさっさと逝け。冷戦下、激動の二十世紀を生き抜いたご老人に浴びせる言葉だろうか。そもそもグリンゴこそGo homeだろうw

おっと、随分話が逸れました。この不動産の改革が吉(外貨獲得による経済復興)に繋がるか、凶(格差拡大に終わる)か、諸刃の剣だろうけど、いずれやらなきゃならない改革に違いない。人によっては住んでいるアパートが高額で売り払うことも出来て、不平等が生まれることが懸念される。