昨日のCubadebateの興味深いカストロさんの台詞が載っていた
Fidel en Mesa Redonda de domingo: “Los yanquis están en Jaque Mate por más inteligentes que sean”
ヤンキーはチェックメイト以上に賢いゲームをするってところだろうか
確かにアンクルサムの手法は昔と比べてかなり巧妙になっている。あのイラク戦争も9.11で始まり今はアメリカ兵が撤退しているが、あの戦争の本質がなかなか見えてこないのだ。一世紀前、米西戦争のときにアメリカが介入したときは分かりやすい構図だったが、今日の世界情勢はあの時と比べ物にならないぐらい複雑なのだ。ヤンキーはチェックメイトして国際非難を浴びるより、もっと巧妙な汚い手法で世界秩序を築き上げようとしている。
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キューバ危機はそれこそチェスゲームだったのだろう。米ソの冷戦構造というチェス盤上で繰り広げられたゲームだった。ホワイトハウス(白)が先手にヒロシマに原爆を投下してソ連にの脅威を見せつけ、冷戦という馬鹿げた定跡を築き上げたのだ。冷戦はそれまでになかった駒の打ち方で、互いに駒を奪い合うリスクを避けることが出来るというメリットがある一方で、下手をすれば戦争という人類滅亡の危機に直面するという大きなリスクがあった。アメリカはNATOという駒を進め、ソ連はワルシャワ軍で迎え撃つ。オープニングゲームではベルリンで米ソの駒が対峙して睨みあった。実際のチェスのゲームでもよくあることだが、互いに打つ手が中々見出せずゲームは硬直化したのだ。しかし明らかに駒の数は白の方が多かったし、黒の陣営近くのトルコというマス目でジュピター型のミサイルが、まるでビショップのようにモスクワという黒のキングに睨みを効かせていた。黒は劣勢だった。
そんな情勢でクルシチョフという経験豊かで有能なチェスプレイヤーが、アメリカのケネディという若くまだまだ経験の浅い未熟なプレイヤーと対峙することになった。白はキューバというマス目が黒に狙われていると恐れ、ピッグス湾侵略やマングース作戦でCIAは亡命キューバ人の反カストロ派という駒を使ったが失敗して黒に駒を奪われる。この白のミスによってキューバというマス目は黒の陣営に入ることを宣言したことに注目してクルシチョフは冒険的な手を打つことにした。白のキングのすぐ近くのキューバというマス目にビショップを置くことにしたのだ。。。。この手は黒にとってもかなりリスクのある手だったが、黒はこのビショップで起死回生を狙い冷戦というチェスゲームで優位に立とうとした。
その後、キューバのマス目の周りでは、白がポーンなどで固めて黒が攻めて来られないように隔離線を設けたりもした。上空では、黒のビショップが攻撃を仕掛けてきたらいつでも駒を奪い返すために、弾頭を積んだ白の戦闘機がナイトのように動き回っていた。互いがなにか間違った手を打てば冷戦というチェスゲームは、戦争という局面を迎えるという危機に陥ったのだ。それがいわゆるキューバ危機だった。

とまぁ。。。。チェス風にキューバ危機を語ってみましたが、戦争では奪われる駒は軍人だけではなく、ゲームに関係ない一般大衆も含まれる。。。ケネディもクルシチョフも駒の奪い合いを望んでいなかったが、それぞれの陣営の駒はプレイヤーの意志に反して動こうとした。例えば白のカーティス・ルメイという人は、キューバを島ごと蒸発させるつもりでいた。彼は先の大戦で日本の東京を焼き尽くしたが、職業軍事らしく割り切って駒を打っていたのだ(勿論、ペンタゴンのみんながそうではないはずだが)いずれにしても彼はゲームの終盤で白の駒が2つあって黒の駒が1つ残ってさえいればいいと考えていたようだ。これが本当のチェスならありふれた展開だが、実際の戦争となると話は変ってくる。駒は人命であり、一度奪ってしまえば、取り返しがつかない。
結局、クルシチョフとケネディは互いに平和的な解決方法を見つけ、黒の白に対する譲歩もあってゲームは核戦争に突入せずに終えることが出来たのだ。しかし、二度と人類はこのような無謀なゲームを行ってはいけない。
この教訓を生かして今日まで核軍縮が行われてきた。
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最近のカストロ前議長の国会での演説やインタビューで核戦争について議論されたことを記事に書きましたが、キューバ危機については詳しく触れなかった。そこでキューバ危機について詳しく知ろうと思い、今年の1月に日本語訳が出版されたマイケル・ドブズさんの「核時計零時1分」を読んでみた。
彼のHP:Official Website of Michael Dobbs - Author

核時計零時1分前―キューバ危機13日間のカウントダウン核時計零時1分前―キューバ危機13日間のカウントダウン
(2010/01)
マイケル ドブズ

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著者はワシントン・ポスト紙でモスクワなどの支局長を歴任し、共産主義国家の崩壊を報道してこられた。
マイケルさんがアメリカ人ということもあり、アメリカ側のみ、一方的な解釈に終わってるのではないかと懸念していたが、少なくとも経歴を見る限り、ソ連側の視点はしっかりと記述されていることが分かる。
この本のオリジナル英語版の題名はOne Minute to Midnight: Kennedy, Khrushchev, and Castro on the Brink of Nuclear War

One Minute to Midnight: Kennedy, Khrushchev, and Castro on the Brink of Nuclear War (Vintage)One Minute to Midnight: Kennedy, Khrushchev, and Castro on the Brink of Nuclear War (Vintage)
(2009/06/02)
Michael Dobbs

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英語版のサブタイトルからも分かるようにキューバ危機の主要な登場人物にはケネディ、カストロ、クルシチョフが挙げられる。したがって、キューバ危機を考察する際は、アメリカだけでなく、ソ連、そしてキューバ側からみた視点が必要であるといえるだろう。しかし、キューバ危機についての既存の本や映画はアメリカ側の視点に立ち、ケネディをただ核戦争を回避した英雄に祭り上げ、アンクルサムにとって不都合な事実はほとんど触れていないのがほとんどだ。あとがきでの著者はこの点を指摘されているが、この本はキューバ危機を知る上でアメリカに偏ることなく、ソ連やキューバの立場にも立脚したバランスの取れた良書といえるだろう。
しかし、キューバについては、特にカストロについては歪んだ表現がされている感がある。決して史実にには反してないが、そこら辺りは仕方ないだろう。著者は第一にアメリカ人の読者を念頭に置かなければならず、カストロに対して甘いことを書くと、読者かが不快感を感じると考えて遭えてそういう表現がされているのかもしれない。(例えばカストロが狂人のように表現されている。読めば分かると思うが)
この本はページ数は600ページ近くあるが、読者を飽きさせないという点でも優れた作品だ。時系列に沿って書かれ、ページの半分ぐらいは10月27日の暗黒の土曜日について割かれている。ただ残念なのはもう少しキューバ危機を引き起こした要因、特にアメリカのCIAによるキューバに対する破壊工作を行ったマングース作戦、ピッグス湾侵攻事件について詳しく触れて欲しかった。この点をしっかり理解しないとなぜキューバ危機が起こったのか理解できないからだ。すくなくともキューバ人の感情を理解することは出来ない。
いろいろと考えさせられた本ではあったが、それだけでなくチェ・ゲバラがキューバ危機の時にどこで何をしていたかについても記述されていて面白かった。キューバ危機を取り扱った本でゲバラについて触れてるのはこの本ぐらいだろう。

最後にキューバ危機を考察するにあたって役に立ちそうな映像資料やHPなどのリンクを残しておいて、また時間があるときにこの危機について考えてみたい。
wikipediaこの本を参考資料に記事が書かれている。
JFK IN HISTORY:Cuban Missile CrisisJFKのキューバ危機時の演説などが載ってる
Discovery Channel 1992年に製作されたキューバ危機についてのドキュメンタリーがニコニコ動画にアップされている。カストロの革命達成後~アメリカの破壊工作、カストロの暗殺計画などヤンキーにとって不都合な真実が説明されている貴重なドキュメンタリーだ。
第1部はDefying Uncle Samアンクルサムへの反発 アンクルサムのピッグス湾侵略に対する反発からキューバに核兵器が配備されるまでが描かれている。

第2部は Eyeball to eyeball 息詰まるにらみ合い

ニコニコにはDiscovery Channelがアップされているが、恐らくこれも他の動画と同じく近いうちに消されるだろう。DVDとかないか探してみたが、見つからなかった。どうやらアンクルサムにとって不都合なドキュメンタリーは、市場経済から抹殺されるようだw。。。。