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ペルーの作家であるバルガス・リョサさんの作品を読んでみようと思い、「楽園への道」を図書館から借りてきた。
先月、このラテンアメリカの巨匠がノーベル文学賞を受賞したのを知ってリョサの本を読もうと思ったのだが、それまで彼の名前すら知らなかった。
ペルーの作家バルガス・リョサがノーベル賞を受賞Premio Nobel a Mario Vargas Llosa

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)
(2008/01/10)
マリオ・バルガス=リョサ

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原題はEl Paraíso en la otra esquina
El paraísoは”楽園”を意味するが、esquinaは外から見た角を意味する。楽園への道という邦訳とはちょっと違いますね。邦訳をスペイン語に訳すとCamino de el paraísoとなってしまう。僕は原題のほうが好きだ。

この作品の登場人物はポール・ゴーギャンと、彼の祖母であるフローラ・トリスタン
ゴーギャンはフランスにおける印象派の創設者でありながら、精神の自由を求めてフランスを捨て、タヒチに渡った。タヒチはかなり遠い島で最近まで知らなかったが、僕はこの前読んだ戒厳令の夜で、日本からのチリへの亡命ルートにタヒチがつかわれてたのを思い出したw
フローラ・トリスタンは19世紀半ばのフランスで、男性社会、そして、労働者たちが幼い頃から低賃金で苛酷な仕事を強いられ、使い捨てられていく社会にあって、労働組合の必要性を説いたスカートをはいた煽動者。ゴーギャンの祖母は、なんと革命家だったのだ!

半世紀の時差があり、この2人の物語が、作者によって交互に語られる。砂浜に打ち寄せる波のように、フローラの時代から孫の時代へ移ったかと思いきや、次章でゴーギャンの祖母の時代へ遡る。画家と革命家であり両者とも異なる価値観を持っているが、時代の波に逆らい激動の人生に情熱を燃やした点で両者は似通っている。だから作者がこのような物語編成をしてもストレスを感じないし、僕は時代の波に漂うような感じで読み進めていくことが出来た。
リョサさんのノーベル文学賞の受賞理由は「権力構造の地図と、個人の抵抗と反抗、そしてその敗北を鮮烈なイメージで描いた」であったが、彼が描いたゴーギャンとフローラの物語は正にそのイメージだ。

この手の小説はゆっくり読むのがいいと思うが、僕は先の展開が気になって4日で読み終えてしまったw。。。。リョサさんの作品を読むのはこれが初めてだが、かなりハマってしまったので他の作品も読んでみたいと感じさせられる作品だった。

リョサの語り口調がとても良い。例えば、以下のゴーギャンに対する語り口調からは、まるで友人に対して語っているようだ。

Vivir al natural, de la tierra, como los primitivos ―los pueblos sanos―, había impulsado su aventura de Panamá y la Martinica, y luego lo llevó a hacer averiguaciones sobre Madagascar y Tonkin, antes de decidirse por Tahití. Pero, en contradicción con tus sueños, aquí tampoco se podía vivir «al natural»,Koke.
(訳文はp39より)※コケはゴーギャンのこと
彼は自然のままに生きること、大地の恵みだけで原始人―健全な人々―のように生きることを望んで、パナマとマルティニックへの冒険を思い立ったのだ。そのあとタヒチに行こうと決心する前には、マダガスカルとトンガについていろいろ調べた。けれどもおまえの夢とは裏腹にここでも「自然のままに」生きることはできなかったね、コケ。


訳文では「お前」って訳されているが、tuの2人称が用いられている。スペイン語でtuの2人称を使うのは、親しみを持った相手に対してなのだが、リョサの語り口調からはゴーギャンに対する親しみが感じられる。

ゴーギャンの数多くのタヒチでの作品が作成されたドラマを、彼の人生を通じて語られている点も興味深い。『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』などの絵画は有名だが、僕はその絵画自体は知っていたものの、ゴーギャンがどのような思いで描いていたかは知らなかった。

革命家フローラのエピソードも面白かったが、僕はゴーギャンの人生に魅了された。社会の対して反発するのは革命家だけではない。ゴーギャンはパリの閉塞的なな空気に嫌気がさし、芸術界は諸文化と交錯し、異なる空気、異なる風景、異なる民族、異なる信仰、異なる生活様式や道徳を取り込む必要があると感じていた。タヒチで、ヨーロッパが知らないもの、あるいは否定したものを探し出し表現することで、商業的な存在が芸術から奪ってしまった勢いを、取り戻すことに彼は成功した。これも立派な革命だろう。

いろいろと考えさせられ、人生観や価値観を揺さぶられる本だった。ページ数は多いがリョサの本で何を読もうか迷っている人には強くお勧めしたい一冊だ。


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今日、新聞でラテンアメリカの作家がノーベル賞を受賞している記事を見かけた。
「権力の構造や個人の抵抗、反抗、そして挫折を鋭く描き出している」点が評価され、バルガス・リョサさんはノーベル文学賞を受賞されたとのこと。
ラテンアメリカの作家はちょぃとマイナーっすけど、ファンにとっては嬉しいニュースっすねw

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)(2008/01/10)マリオ・バルガス=リョサ商品詳細を見る■いやあ、やりましたね、ノーベル文学賞受賞!実は、今年のノーベル文学賞の行方なんとなく気になっていて、事前に「2ちゃんねる」のスレッドをずっとチェックしていた。イギリスのブックメーカーのオッズでは、ここ数日でコーマック・マッカーシーが、一気にジャンプして首位をキープしていた。あ
ノーベル文学賞受賞おめでとう!リョサ!


マリオ・バルガス・リョサMario Pedro Vargas Llosaさんはペルーの作家。僕はガルシア・マルケスぐらいしか知らないのでこれを機にリョサの本を読んでみようと思う。
La noticia del Premio Nobel a Mario Vargas Llosa fue portada de muchos diarios alrededor del mundo
世界中の新聞でリョサの記事が載ったので、ペルーの新聞El comercioでは各国の新聞の記事が紹介されているwのを誇らしげに掲載されています
やっぱり自分たちの国の作家が受賞するとテンションも上がるもンっすねw分かりますww
日本では春樹さんが受賞しなかったのでガックリな雰囲気なンかな?僕は村上さんはあンまし好きでも嫌いでもないんだが(彼が翻訳している作品は好きですけどw。。。

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