9月11日にアジェンデについて書いたので、何か彼に関連する映画を観ようと思って探してみたが、なかなか手軽に観れる映画が見つからなかった。そこでちょっとユニークな視点からチリ・クーデターを扱った、以前から気になっていた映画を観る事にした。

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ぜんぶ、フィデルのせいという映画は、題名だけ見れば、カストロさんに関連した映画に思えるが、設定がチリ・クーデター前後の時代ということもあり、以前ブログで紹介したサルバドール・アジェンデの最後の演説などが映画内で流される。

9・11といえば2001年のアメリカ同時多発テロ事件を大抵の人は思い起こすが、ラテンアメリカでは1973年のチリ・クーデターを指す事が多い。サルバドール・アジェンデは今でもチリの人々の心の中で生き続けている。youtubeにアジェンデの最後の演説がアップされている。この演説からも彼が本気でチリを変えようとしていたことが分かる。今チリのホットな話題といばサンホセ鉱山で地下深くに閉じ込められている労働
9月11日はチリ・クーデターの日Golpe de Estado Chileno 11 de septiembre de 1973


主人公はパッケージの仏頂面のフランス人の女の子。両親は裕福だったが、チリの情勢に影響を受け急激に左翼へ傾倒していく。共産主義が理解できない幼い子供である主人公のアンナは、両親の行動が理解できず、反発する。家庭も貧しくなり、キューバ人亡命者の家政婦を解雇することになるが、その際にその家政婦がアンナに対し、ぜんぶ、フィデルのせいだわ La Faute à Fidel !と言った台詞がこの映画の題名となったw以後、フィデルは映画内で言及すらされないwww

キューバ革命が現在も続いているのに対して、アジェンデの革命は未完の革命だ。ぜんぶ、アジェンデのせい!なんて題名より憎まれ役のカストロさんが題名に引用されたのは面白いw

この映画の面白さは、子供の視点からコミュニストを描いた点だろう。幼いアンナはカストロとアジェンデの区別も分からず、コミュニストは核戦争を起こす狂人(キューバ危機を指しているのだろう)とかヒゲ面のおっちゃん(ゲリラ戦士の象徴)とかいう偏見や貧しさばかりに着目してしまう。そんな時に家に来ているヒゲ面のおっちゃんが、ミカンを平等に分配して見せて共産主義の素晴らしさを教えるシーンはなかなかシュールだった。
子供視点を意識してか、この映画のカメラは子供の身長(アンナの目線)に設定されている。隣国のスペインのフランコ独裁体制下での弾圧を非難するデモに両親がアンナを連れて行くシーンで、子供の視点から大勢の大人たちが行進するのが侠気の沙汰に見えてくる。勿論、映画を鑑賞する側はフランコは内戦で左翼のよせ集めを倒したファシストであることを知っているのだが、子供視点のアングルからはファシストもコミュニストも区別が付かない。
70年代はベトナム戦争の余波があり、スペインではフランコがまだ独裁政権を維持している。そして南米のキューバ革命の余韻がまだあり、チリでは共産主義者のアジェンデが台頭する。なかなか興味深い時代設定だが、イデオロギーが分からない子供にとっては、訳の分からない侠気の時代でもあっただろうw
アジェンデが当選したときにヒゲ面のおっちゃんらがアンナを囲んでVenceremosベンセレ~モスを歌うシーンがあるが、子供の視点からは、大人たちの意味不明な騒動に巻き込まれてしまったwそんなフランスの女の子を描いた映画だった。
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こないだ「苺とチョコレート」というキューバ映画を観た。
内容的にはスペインのアルモドバル監督が扱いそうな系統の映画だがw)
要するに maricónの映画だ。スペイン語を知らない方はこの語の意味を察してもらうしかないがw。。。。遭えて訳したくもない
alcinema

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苺とチョコレート(1993)FRESA Y CHOCOLATEを観るにあたっては、キューバでマリコン達がどのように扱われてきたのか、事情を知らないと理解できないと思う。
キューバと言えばヘミングェイ、ラム酒、カストロらバルブードス(髭ズラ)の男達といったマッチョなイメージがある。革命を非難する理由の一つにマリコンを弾圧してきたことが挙げられるが、この映画ではそのような事情のキューバでのマリコンの青春が描かれているwマリコンなので閉口させられるが、アルモドバルの作品と同様、なかなか面白い作品でもある。

この作品のレビューを書こうと思ったのは、前の記事でも取り上げた8月31日のホルナダのインタビューで、カストロが、かつて革命政権下で同性愛者が迫害されていた事実を認めたからだ。迫害が起きていたことに対し、「誰かに責任があるとすれば、それは私だ」と述べた。「生きるか死ぬかというようなひどい問題が山積していたため、マリコンに対し十分な注意を払っていなかった」とも語った。

カトリックが根付いていたキューバは、スペインなどと同様に同性愛に対して厳しい弾圧がなされてきた。
しかし、この問題はとりわけキューバだけの問題ではなくアメリカでも同性愛者の差別は存在するし、世界共通の問題だろう。祖国か死かの状況下で、マリコン達の人権まで保護することが出来なかったのは無理もないことではないだろうか。私個人としてはマリコンはよろしくないと思うのだが、彼らには彼らの表現の自由があるわけだし、その自由も尊重されるべきだろう。最近では、同性カップルの同居を法的に認めようとの動きもあるキューバの取り組みを評価するべきではないだろうか。