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久々にリョサの本を読んでみた。去年の今頃は「チボの狂宴」を読んでいた。今回読んでみたのは、タイトルから如何わしい雰囲気満載の小説「悪い娘の悪戯」。この二作の共通点は、キューバ革命が作中で登場する点だろうか。今回はカミーロさんの兄弟オスマニ氏が登場した。

この小説の主人公ユネスコの通訳は、悪い娘に振り回される。世界中の男を食い物にする彼女は、フランス、キューバ、イギリス、そして日本へと渡り歩く。そんな彼女裏切られつつも、愛し続ける主人公はいつも行方をくらます悪い娘に悩まされる。

悪い娘の悪戯悪い娘の悪戯
(2011/12/23)
マリオ・バルガス=リョサ

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ある日、親しい同業者であるユダヤ人の通訳が、日本で彼女を見つけた旨の手紙を主人公によこすのだが、その手紙の中で日本文化の真髄について印象的な描写がなされていた。
「日本文化の神髄は、(...)"ラブホテル"と称される密室に集約される。(...)日本古来の崇高な伝統と最先端の技術をかけ合わせ、日本人の叡智が惜しみなく注がれた、まさに驚異の空間と呼ぶにすさわしい(...)」

なお原文では"ラブホテル"はmaisons closesと記されていた。なんのことか分からず、辞書を引いても出てこない。次にフランス語表記文字らしいものに目が入り、そうか!仏語かと気づき調べてみたら当たっていた。詳細はwikipedia先生の説明を参照されたし。
Prostitution in France

毎度おなじみにリョサのこうした記述。このノーベル文学賞作家はセクスワルな描写はまいどのこと。またやってくれました。。。。
DSC_1125.jpg

原書を安く買ったので、また暇があったらゆっくり読みなおそう思う。
cf
2011.06.25 チボの狂宴~ノーベル文学賞作家が描いたトルヒーリョ~
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図書館の自動書庫から古本だが、かなり興味深い本を見つけた。「炎の女性たち―カストロ、ゲバラを支えて十年」 (1969年)。表紙から惹きつけられるものがあるこの本では、キューバ革命を支えた4人の女性の革命家たち(revolucionarias)が熱く描かれている。女性ながらモンカダ兵営での作戦に参加された、アイデ・サンタマリア(Haydée Santamaría)メルバ・エルナンデス(Melba Hernández)さん。ラウル・カストロ夫人である、ビルマ・エスピン(Vilma Espín)さん。そしてカストロさんが一番信頼した秘書セリア・サンチェス(Celia Sánchez)さん。いずれの方もキューバ革命史上、有名な革命家だ。上記の4名のレヴォルショナリアスは、カストロさんを、そしてキューバ革命を縁の下から支えてこられたのだ。
炎の女性たち
燃え盛る表紙とタイトルが示すように、この本に登場する女性たちはキューバ革命に対して、男以上に情熱を燃やされた。著者の山本さんのお言葉を借りれば、セリア・サンチェスは人道的なものに立つ、正義感と、激しい火のような情熱を心の中にたくわえられている。また、たとえビルマ・エスピンのように外見が優雅でろうたけた女性でも、正義の前に、信念のために、一歩もひかない戦い抜く激しい性格を持つ女性がキューバの東部には多い、そうだ。そういえば、「キューバの恋人」の女性革命家マルシアもまた、東部出身という設定だった。東部の人たちの血の中には革命の血が流れている、と言われている。
Tierra Caliente(もえる大地!)
Sangre Caliente(もえる血潮)
と彼らは誇らかに言う。

確かに東部はキューバの歴史が示すように、革命の舞台に違いない。カストロさんの革命以前、かつての宗主国スペインからの独立闘争の中心地も東部だった。例えば、今年クライマックスが描かれるNHK大河ドラマ『坂の上の雲』では、米西戦争における東部サンティアゴ・デ・クーバ湾の閉塞作戦が描かれている。

ちなみにこの本の著者の山本満喜子さんは、『坂の上の雲』に登場する帝国海軍大将、山本権兵衛の孫に当たるそうだ。著者紹介欄のこの記述を見てビックリしたんだが、それ以上に山本さんの経歴に驚かされる。アルゼンチンに渡航され日本学校で教師を勤めながら、タンゴ界に入られ、あのペロンの前で2回舞台上で踊られたそうだ。

なぜ大将の孫娘さんがラテンアメリカに渡航されたのか気になったので調べてみたら、また興味深いエピソードが出てきた。かつての同盟国、ナチスドイツの海軍将校と大恋愛をされ、アルゼンチンへ駆け落ちされたそうだ。。この本で扱われている4名のレヴォルショナリアと同様に激動の人生を、山本さんが歩んでこられたことを十分物語るエピソードのひとつだ。

その後、山本さんは通訳などを勤められ、67年にキューバに渡られた。そして、激動の人生を歩んだキューバの女性革命家のビルマさんやセリアさんと近しい間柄になられた。この山本さんの著書の魅力は、直接、著者が彼女らにインタビューされて記されている点にある。また、キューバの女性の情熱だけでなく、キューバ革命の舞台裏資料としても、この山本さんの著書は貴重であることが分かる。キューバ文化交流会会長まで勤められた山本さんは、どうやらキューバと日本の友好を語る上で欠かせない方のようだ。先の記事で紹介した「キューバの恋人」の仕掛け人のお一人も山本さんだそうだ。

おっと、4名の革命家のことではなく、著者の山本さんの話ばかりになりましたwとにかく面白かったので、この本は再出版されてほしいっすね。大きな図書館ぐらいでしか手に取ることが出来ないのが勿体無い。
足に血豆までつくり、靴を脱げば血が流れたと回想される記述は生々しいというより、痛々しい。それでも、シエラでの闘いは素晴らしい日々だったと回想される4名のレヴォルショナリアス。彼女たちを支えたのは、カストロさんが掲げた理念であったに違いない。どんなに険しい山でも、その先に浮かぶ一筋の雲を目指して行軍する。理想の社会を目指して。。。彼女たちの情熱からは「坂の上の雲」で描かれた明治の日本人の清々しさに似たロマンを感じ取れる。
難局の思想、と表題を読むと大層に聞こえるが、2人の評論家の対談が綴られている小冊子。ゲバラが扱われていたので、ちょっと読後の雑感を書いてみようと思う。

難局の思想 (角川oneテーマ21)難局の思想 (角川oneテーマ21)
(2011/05/10)
佐高 信、西部 邁 他

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ゲバラを一言で表すと、"どこまでも伸びるストレート”と評される佐高信さん、”喘息持ちの革命家”と評されたのは西部邁さん。映画とかの知識レベルで話されているので、対談の内容の所々で認識違いや、違和感を感じる箇所があったが、興味深い問も発せられていた。この本では他にも、いくつかの思想が扱われている。そのうちの一つ三島由紀夫は確かに扱い難い。それは三島由紀夫が日本人であり、ゲバラより身近な問題であるからだろうか。ゲバラもまた、カストロさんらキューバ革命の同志にとって、扱い難い存在であったに違いない。

↑は、ゲバラがアルジェリアで、ソ連の帝国主義を非難している演説。純粋であるが故に、ストレートに物を言うゲバラ。冷戦下でソ連の援助に頼っていたキューバ政府にとっては、ゲバラは難局の思想であったに違いない。

一番面白かったのは、「観念の空回りで医者は出来ない」という項。医者という職業から革命に携わった、魯迅やチェーホフ、そしてエルネスト・ゲバラ。「人間を扱っていますから、そもそも人間には関心があるんですね。それでも学問としては人間学をやっているわけではない。そうすると人間に対する関心が、悪く言えば子供っぽい。よく言えば非常に純粋に人間のことを気にするというタイプが多いですね。」と西部さんは指摘される。「魯迅もチェーホフも医学から入って行く。物体として、あるいはプラクティカルな人間を知っているわけですから、観念の空回りはできない。」と佐高さん。確かに、ゲバラを革命家へ誘った契機は医学生という立場から、ラテンアメリカの貧しい人々の実態に直面したところが大きい。この対談では、別の切口から紹介されていた医師がゲバラに思想を与えた。ハンセン病の治療に取り組まれていたペーシェ博士は、ゲバラにペルーの共産主義者マリアテギの著書を薦めた。このことは、また別の記事で書こうと思う。

もう一点興味深かったのは、日本から見たキューバ革命というテーマだ。60年代に青春時代を過ごされた、佐高信さんと西部邁さんは当時を振り返り、グローバルな視野がなかったことを痛感されている。かつて、世界共産主義革命とか言っておきながら、自分たちは世界のことに対して何も関心を抱いていなかったし、知ろうともしなかったと振り返られる西部さん。当時は今と違い、インターネットもないし情報源は雑誌やテレビ、ラジオに限られていたことを考えれば、無理もないことだが、決して日本でキューバ革命の情報がなかったわけではない。図書館などで古い書籍を探せば分かると思うが、革命達成直後から早くもカストロさんやゲバラの演説集は出版されていたのだ。要は関心を持つきっかけがあったかどうかによるところが大きいと思う。そういう意味において、日本人はグローバルな視野を比較的、他国に比べて持たず、経済成長だけに集中出来、ノホホンとしていられたんだろう。少なくとも冷戦の間だけは。

日本関連での話では、ゲバラ礼賛もいいけど、日本人がどのような形でキューバ革命に携わったかを調べるべきだと、指摘される西部さん。多くの日本人が戦前から戦後、様々な事情からブラジルなどに移住した話はよく知られているが、キューバへ移住したという話は聞かない。でも実は戦前からキューバに移住されていた日本人の方がいらっしゃるんですね。こないだ図書館でたまたま見つけた本に、「ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史 」という興味深い表題の本を発見した。また機会があれば、別の記事で取り上げてみます。革命に深く関わられていたわけじゃないけど、キューバの発展に日本人移民の方は尽くされていたことが、書かれている。

ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史
(2005/01)
ロランド・アルバレス エステバン、マルタ・グスマン パスクアル 他

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日本とキューバ革命との接点から言えば、僕はゲバラが外交官として日本へ来たときに、ゲバラが何を我が祖国に対して感じ取ったかというテーマに興味がある。ゲバラが広島を訪問したことは良く知られているが、だったらゲバラがそこで何を考えたのか?という肝心なことは実はあまり知られていないのではないだろうか?

このテーマについては興味深いゲバラが書いた論文と、手紙などの資料が残っている。今月から来月にかけて、時間があればこのテーマを深く掘り下げたい。

ハンバーガーに対して、侍が大根を持って対峙している。ちょっとこの絵を見たら、この本を買うのは止した方がいいなぁなんて僕は思うんだけど、他の人はどうだろうかw?図書館でTPPについての本を適当に借りてきわけだが、豊富なデータを用いて経済学者が熱くTPPの実態を曝している本に出会えた。

「TPP開国論」のウソ 平成の黒船は泥舟だった「TPP開国論」のウソ 平成の黒船は泥舟だった
(2011/05/14)
東谷 暁、三橋 貴明 他

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TPPについてこのブログでこれまで触れる機会は少なかったと思いますが、僕は去年から反対の立場だった。グローバル化、新自由主義、自由貿易。すべて聞こえは良いが大国による搾取形態に過ぎない。キューバを通じて中南米、ラテンアメリカのことに多少詳しくなってからは、僕は新自由主義に対しては反対の立場だ。当然、TPPについても反対なンだけど、この本を読んで、認識していた以上の実態に驚かされた。反原発デモに参加する気はないが、TPPを止めさせるデモなら参加するのも悪くない。

TPP問題で今一番注目を集めているのはこの方だろう。中野剛志さんの著作、TPP亡国論 (集英社新書)は新聞の広告欄でよく見かけるけど、残念ながら図書館に置いていなかった。 「TPP開国論」のウソ 平成の黒船は泥舟だった、の第三章では中野さんが、TPP問題をもっと視野を広げる形で、いわば新自由主義が覆いつくそうとしている世界を鳥瞰するやり方で、解説されている。読者はTPPの実態だけでなく、映像で観る中野さんのイメージと、本とでは印象が随分違うことに驚かされるだろうw

参考文献として、スティグリッツさんの著作や、以前ブログで取り上げたトッドさんの著作にも触れられていることにも好感が持てる。
2011.10.14 僕の大好きな経済学者スティグリッツさんが、ウォール・ストリートでの抗議に参加していた
2011.09.05 自由貿易は民主主義を滅ぼす E・トッド

許せないのはTPPの論点を歪める政治家やマスコミ。フジテレビみたいなTV局が議論を歪めていだけでなく、NHKや新聞紙など、マトモナ媒体ですら今回のTPP問題に関してはあからさまに論点を逸らしている事が見て取れる。あたかもTPPの問題を農家だけに関わる問題のように見せかけ、関税が撤廃されたらフェアなトレードが出来ると、短絡的にインタビューに応える財界人。前原みたいなOne Phrase Politicsの手法を使う政治家が、涼しい顔をして結論を出さないと言い出す始末。今日の首相の所信演説ではTPP問題について、早期に結論を出すと言い、党の方針をまったく打ち出さず逃げていた。あたかもドジョウが泥を捲し上げて溝の中に逃げるように。
TPP開国論のウソ

世界中で流行っているステファン・ヘッセルさんの言葉を借りれば、今の日本のこのような現状に対しては、
Indignez-vous !(フランス語で憤れ!という意味らしい)
といったところかな。
明日は9月11日ということもあってか、昨夜からチリ・クーデターを扱った小説を読んでいた。僕らの世代だと、9月11日といえば、アメリカの11 September 2001を想起する。一方、もっと上の世代の方はチリの11 de Septiembre 1973を想い起こされるのだろう。図書館で借りてきた大石直紀さんの「サンチャゴに降る雨」は2000年に出版された小説だが、貸し出し記録を見てみると、書庫に埋もれるまで毎月貸し出されていた。

サンチャゴに降る雨サンチャゴに降る雨
(2000/11)
大石 直紀

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冒頭では、架空の登場人物である日本人の安井豊とビオレタ・アレスが、チリの首都サンティアゴのモネダ宮殿に向けて車を走らせている。そこから28年遡って、1973年9月11日のラジオ放送から物語の幕は開ける。「サンチャゴに雨が降っています」

この小説はフィクションと史実を巧みに交錯させ、また日本の政治家の汚職問題を扱っている点や、チリ女性の力強さを描いている点において、以前読んだ五木寛之さんの 「戒厳令の夜」と重なる。登場する政治家は架空の人物だが、新自由主義者の中曽根元首相などチリの独裁者ピノチェトを支持していた日本の政治家は少なくない。五木さんの小説は、73年のチリ・クーデターで物語りは終結するが、大石さんのこの著作では11 de Septiembre 1973からストーリーが展開される。アウグスト・ピノチェトやリカルド・ラゴスら実在の人物と、架空の登場人物が交錯するストーリーを通じて、チリ・クーデーターやその後の民主化運動を理解できる一助になり得る小説でもあると思う。

少しネタばれになるが、この小説では2001年9月に、南米の利権を貪る日本の右翼政治家を後ろ盾に力をつけた将校が、クーデター未遂を起こす。冷戦構造が崩れ、軍事独裁者の存在意義が失われた21世紀の幕開け。チリでのクーデターを通じて左傾化する南米を再び軍事政権時代に逆行させようと企てる筋書きだ。この小説は2000年に出版され、著者は未来のことについて小説のストーリーを書かれた。もっともこれはフィクションに過ぎずクーデター未遂事件など2001年9月のチリで起こらなかった。しかし代わりに、世界情勢を大きく変えた俗に言う11 Septemberがアメリカのニューヨークで起きてしまった。その後、日本では新自由主義者の小泉元首相が力で世界を支配するブッシュ大統領のイラク侵攻を支持、21世紀はテロとの闘いの世紀となった。

20世紀はイデオロギーが対立した世紀。1973年のチリ・クーデターから何万人もの規模のチリ人がイデオロギー闘争の犠牲となった。今日の21世紀は昔のようにアカ狩りはなくなったにせよ、また新たなキナ臭い闘争が起こっている。この小説は2つの9・11の狭間が描かれている。

表紙に書かれているスペイン語の副題La lluvia que moja Santiagoは、直訳すれば「サンティアゴを湿らせる雨」といったところだろうか。軍事独裁の時代は終焉を迎えたチリ。73年9月11日にサンティアゴ・デ・チレで降った雨は、未だにチリ国民の記憶の中に浸み込んでいる。
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