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難局の思想、と表題を読むと大層に聞こえるが、2人の評論家の対談が綴られている小冊子。ゲバラが扱われていたので、ちょっと読後の雑感を書いてみようと思う。

難局の思想 (角川oneテーマ21)難局の思想 (角川oneテーマ21)
(2011/05/10)
佐高 信、西部 邁 他

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ゲバラを一言で表すと、"どこまでも伸びるストレート”と評される佐高信さん、”喘息持ちの革命家”と評されたのは西部邁さん。映画とかの知識レベルで話されているので、対談の内容の所々で認識違いや、違和感を感じる箇所があったが、興味深い問も発せられていた。この本では他にも、いくつかの思想が扱われている。そのうちの一つ三島由紀夫は確かに扱い難い。それは三島由紀夫が日本人であり、ゲバラより身近な問題であるからだろうか。ゲバラもまた、カストロさんらキューバ革命の同志にとって、扱い難い存在であったに違いない。

↑は、ゲバラがアルジェリアで、ソ連の帝国主義を非難している演説。純粋であるが故に、ストレートに物を言うゲバラ。冷戦下でソ連の援助に頼っていたキューバ政府にとっては、ゲバラは難局の思想であったに違いない。

一番面白かったのは、「観念の空回りで医者は出来ない」という項。医者という職業から革命に携わった、魯迅やチェーホフ、そしてエルネスト・ゲバラ。「人間を扱っていますから、そもそも人間には関心があるんですね。それでも学問としては人間学をやっているわけではない。そうすると人間に対する関心が、悪く言えば子供っぽい。よく言えば非常に純粋に人間のことを気にするというタイプが多いですね。」と西部さんは指摘される。「魯迅もチェーホフも医学から入って行く。物体として、あるいはプラクティカルな人間を知っているわけですから、観念の空回りはできない。」と佐高さん。確かに、ゲバラを革命家へ誘った契機は医学生という立場から、ラテンアメリカの貧しい人々の実態に直面したところが大きい。この対談では、別の切口から紹介されていた医師がゲバラに思想を与えた。ハンセン病の治療に取り組まれていたペーシェ博士は、ゲバラにペルーの共産主義者マリアテギの著書を薦めた。このことは、また別の記事で書こうと思う。

もう一点興味深かったのは、日本から見たキューバ革命というテーマだ。60年代に青春時代を過ごされた、佐高信さんと西部邁さんは当時を振り返り、グローバルな視野がなかったことを痛感されている。かつて、世界共産主義革命とか言っておきながら、自分たちは世界のことに対して何も関心を抱いていなかったし、知ろうともしなかったと振り返られる西部さん。当時は今と違い、インターネットもないし情報源は雑誌やテレビ、ラジオに限られていたことを考えれば、無理もないことだが、決して日本でキューバ革命の情報がなかったわけではない。図書館などで古い書籍を探せば分かると思うが、革命達成直後から早くもカストロさんやゲバラの演説集は出版されていたのだ。要は関心を持つきっかけがあったかどうかによるところが大きいと思う。そういう意味において、日本人はグローバルな視野を比較的、他国に比べて持たず、経済成長だけに集中出来、ノホホンとしていられたんだろう。少なくとも冷戦の間だけは。

日本関連での話では、ゲバラ礼賛もいいけど、日本人がどのような形でキューバ革命に携わったかを調べるべきだと、指摘される西部さん。多くの日本人が戦前から戦後、様々な事情からブラジルなどに移住した話はよく知られているが、キューバへ移住したという話は聞かない。でも実は戦前からキューバに移住されていた日本人の方がいらっしゃるんですね。こないだ図書館でたまたま見つけた本に、「ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史 」という興味深い表題の本を発見した。また機会があれば、別の記事で取り上げてみます。革命に深く関わられていたわけじゃないけど、キューバの発展に日本人移民の方は尽くされていたことが、書かれている。

ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史
(2005/01)
ロランド・アルバレス エステバン、マルタ・グスマン パスクアル 他

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日本とキューバ革命との接点から言えば、僕はゲバラが外交官として日本へ来たときに、ゲバラが何を我が祖国に対して感じ取ったかというテーマに興味がある。ゲバラが広島を訪問したことは良く知られているが、だったらゲバラがそこで何を考えたのか?という肝心なことは実はあまり知られていないのではないだろうか?

このテーマについては興味深いゲバラが書いた論文と、手紙などの資料が残っている。今月から来月にかけて、時間があればこのテーマを深く掘り下げたい。

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