図書館の自動書庫から古本だが、かなり興味深い本を見つけた。「炎の女性たち―カストロ、ゲバラを支えて十年」 (1969年)。表紙から惹きつけられるものがあるこの本では、キューバ革命を支えた4人の女性の革命家たち(revolucionarias)が熱く描かれている。女性ながらモンカダ兵営での作戦に参加された、アイデ・サンタマリア(Haydée Santamaría)メルバ・エルナンデス(Melba Hernández)さん。ラウル・カストロ夫人である、ビルマ・エスピン(Vilma Espín)さん。そしてカストロさんが一番信頼した秘書セリア・サンチェス(Celia Sánchez)さん。いずれの方もキューバ革命史上、有名な革命家だ。上記の4名のレヴォルショナリアスは、カストロさんを、そしてキューバ革命を縁の下から支えてこられたのだ。
炎の女性たち
燃え盛る表紙とタイトルが示すように、この本に登場する女性たちはキューバ革命に対して、男以上に情熱を燃やされた。著者の山本さんのお言葉を借りれば、セリア・サンチェスは人道的なものに立つ、正義感と、激しい火のような情熱を心の中にたくわえられている。また、たとえビルマ・エスピンのように外見が優雅でろうたけた女性でも、正義の前に、信念のために、一歩もひかない戦い抜く激しい性格を持つ女性がキューバの東部には多い、そうだ。そういえば、「キューバの恋人」の女性革命家マルシアもまた、東部出身という設定だった。東部の人たちの血の中には革命の血が流れている、と言われている。
Tierra Caliente(もえる大地!)
Sangre Caliente(もえる血潮)
と彼らは誇らかに言う。

確かに東部はキューバの歴史が示すように、革命の舞台に違いない。カストロさんの革命以前、かつての宗主国スペインからの独立闘争の中心地も東部だった。例えば、今年クライマックスが描かれるNHK大河ドラマ『坂の上の雲』では、米西戦争における東部サンティアゴ・デ・クーバ湾の閉塞作戦が描かれている。

ちなみにこの本の著者の山本満喜子さんは、『坂の上の雲』に登場する帝国海軍大将、山本権兵衛の孫に当たるそうだ。著者紹介欄のこの記述を見てビックリしたんだが、それ以上に山本さんの経歴に驚かされる。アルゼンチンに渡航され日本学校で教師を勤めながら、タンゴ界に入られ、あのペロンの前で2回舞台上で踊られたそうだ。

なぜ大将の孫娘さんがラテンアメリカに渡航されたのか気になったので調べてみたら、また興味深いエピソードが出てきた。かつての同盟国、ナチスドイツの海軍将校と大恋愛をされ、アルゼンチンへ駆け落ちされたそうだ。。この本で扱われている4名のレヴォルショナリアと同様に激動の人生を、山本さんが歩んでこられたことを十分物語るエピソードのひとつだ。

その後、山本さんは通訳などを勤められ、67年にキューバに渡られた。そして、激動の人生を歩んだキューバの女性革命家のビルマさんやセリアさんと近しい間柄になられた。この山本さんの著書の魅力は、直接、著者が彼女らにインタビューされて記されている点にある。また、キューバの女性の情熱だけでなく、キューバ革命の舞台裏資料としても、この山本さんの著書は貴重であることが分かる。キューバ文化交流会会長まで勤められた山本さんは、どうやらキューバと日本の友好を語る上で欠かせない方のようだ。先の記事で紹介した「キューバの恋人」の仕掛け人のお一人も山本さんだそうだ。

おっと、4名の革命家のことではなく、著者の山本さんの話ばかりになりましたwとにかく面白かったので、この本は再出版されてほしいっすね。大きな図書館ぐらいでしか手に取ることが出来ないのが勿体無い。
足に血豆までつくり、靴を脱げば血が流れたと回想される記述は生々しいというより、痛々しい。それでも、シエラでの闘いは素晴らしい日々だったと回想される4名のレヴォルショナリアス。彼女たちを支えたのは、カストロさんが掲げた理念であったに違いない。どんなに険しい山でも、その先に浮かぶ一筋の雲を目指して行軍する。理想の社会を目指して。。。彼女たちの情熱からは「坂の上の雲」で描かれた明治の日本人の清々しさに似たロマンを感じ取れる。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://hastasiempre.blog104.fc2.com/tb.php/329-c8578fde