上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
98年にローマ法王を社会主義国キューバへ受け入れたカストロさん。両者は敵対関係にあるのではないか、というのが世間一般のイメージだろうが、それはメディアが伝える歪んだ図式に過ぎないということを前回の記事で書いた。
今日はこのテーマについて書こうと思う。
papa verde
↑は丁重に法王をもてなす、カストロさん。しかしカストロさんは神を信じなかったのではないか?混乱する人も多いことだろう。オリバー・ストーン監督の映画「コマンダンテ」の後半箇所の次のようなやりとりに、謎を解くヒントが隠されている。

-あなたは無神論者なのですか?
No creo en todo eso que el hombre ha creado.
私はヒトがつくったものは全て信じない。
-あなたは無神論者ですが、ローマ教皇を丁重にもてなしました。
宗教は民衆にとってアヘンであると考えていますか?
Todo depende.
Si la religión se usa para crear valores,hacer el bien, consolar,no es un opio.
すべては状況による。
価値観の形成や善意、慰めのために利用されるなら、宗教はアヘンではない。
Pero si utilizamos las creencias para defender una mala causa, entonces sería un opio.
La religión consuela a mucha gente,la tendencia del ser humano es a creer.
しかし宗教が悪い主義主張を擁護するために利用されるなら、その時はアヘンになる。
多くの人々を慰める宗教をヒトは信じる傾向にある。

コマンダンテ COMANDANTE [DVD]コマンダンテ COMANDANTE [DVD]
(2007/12/05)
オリバー・ストーン、フィデル・カストロ

商品詳細を見る

この「宗教は人民のアヘン」はマルクスの有名の言葉で、彼の宗教観を巧みに言い表している。
cf マルクスの宗教観wikipedia
上記の応答ではマルクスの考え方を分かり易く解説されている。
阿片は中毒を引き起こす麻薬であるとともに、当時、緩和医療での疼痛などの痛み止めとしても使用されていた、とwikipediaで解説されているように、アヘンに喩えられる宗教は一長一短があるわけだ。古代ローマ帝国の統治にキリスト教が用いられてきたことは周知の通りだが、これは現在社会においても言えることなのだろう。モラルを保つ意味では有用な用い方だが、宗教が人々を盲目にさせることを悪用する輩がいるというわけだ。

キューバ革命とカトリックについては、ブラジル人修道士フレイ・ベトさんの著作「フィデルと宗教」(Frei Betto. FIDEL Y LA RELIGIÓN. 1985)に詳しく記されている。邦訳では後藤 政子さんの「カストロ 革命を語るで一部を読む事が出来る。
カストロ 革命を語るカストロ 革命を語る
(1996/01)
後藤 政子

商品詳細を見る


カトリック教会とキューバ革命の摩擦の原因が、カトリック系の私立学校が反革命運動の拠点となっていたことにあると、カストロさんが上記のインタビューで応えられている。キューバは他のラテンアメリカと違い、持てる者にカトリックが浸透していた事情があり、教会は金持ちの文化になっていた。

革命が進行すると同時に、持てる者たちは、持たざる者であるカンペシーノ(農民)のように革命に同調できず、距離を置くようになった。そこでカトリック教会が悪用された。このような経緯があって、革命政権は私学学校を国有化せざるを得ず、溝がさらに深まった。

しかし、注意すべきは革命政権はカトリックを否定したわけではない、ということ。カストロさんは、個人としては無神論者だが、カトリックの教理に対してはむしろ賞賛されている。そのことは、上記のベト修道士のインタビューでカストロさんの応答から読み取れる。


下記は、邦訳にない箇所なのでCubaDebateの原文を自前の意訳で掲載する。
“… que nosotros podíamos suscribir perfectamente casi todos los mandamientos de la ley de Dios, tienen mucho parecido con los nuestros.
「われわれは教会の教えに概ね同調できる、われわれの主義と多くの点で類似しているのだ。
Si la Iglesia decía: “no robar”, nosotros aplicábamos con rigor también ese principio: “no robar“. Una de las características de nuestra Revolución es que suprime el robo, la malversación y la corrupción.
教会が「汝、盗むなかれ」と諭したように、われわれもこの「汝、盗むなかれ」という行動原理を厳格に適用した。
われわれの革命の特長のひとつは、盗み、横領、汚職を撤廃することにあるのだ。

Si la Iglesia decía: “amar al prójimo como a ti mismo”, eso es, precisamente, lo que nosotros predicábamos a través de los sentimientos de solidaridad humana que están en la esencia del socialismo…, el espíritu de fraternidad entre los hombres, que es también uno de nuestros más apreciados objetivos.
教会が諭す「汝の隣人を汝のごとく愛せよ」はまさに、社会主義の精髄である人類連帯の精神を通して我々が説いていたことだ...,それは人々の間に育まれる友愛の精神であり、われわれが最も賞賛すべきことでもあるのだ。
(Frei Betto. FIDEL Y LA RELIGIÓN. 1985)
Fidel habla de Religión (Fragmentos)
http://es.scribd.com/doc/66427854/Fidel-y-la-religionより前後原文補足

フレイ・ベトさんのインタビューは、カトリック教会がキューバ革命体制に対して好意的な印象を抱くきっかけを与えた。おそらくローマ法王もこの著作を一読されたことだろう。両者のあいだには、ひとつの大きな共通項、モラルを尊重する精神があるのだ。

キューバ革命後、教会は閉鎖されず、聖職者も虐げられることはいっさいなかった。プラヤ・ヒロンで祖国を裏切った司祭に対しても、革命政府は暴行したりしなかったのだ。これはカストロさんがシエラ・マエストラから一貫してきた方針。その根底にはくどい様だがモラルがあるンっすね。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://hastasiempre.blog104.fc2.com/tb.php/361-a904a361
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。