上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
アマゾンの書評などが厳しかったので面白くないのかと思っていたが、予想以上に楽しく読めたw
著者のデイヴィッド・L. ロビンズDavid L. Robbinsさんは歴史モノの小説を今まで書かれてきたようだが、前作はルーズベルトの暗殺計画を題材に書かれたようだ。まだ読んでないのでまた暇があったら読んでみようと思う。

カストロ謀殺指令〈上〉 (新潮文庫)カストロ謀殺指令〈上〉 (新潮文庫)
(2010/04/24)
デイヴィッド・L. ロビンズ

商品詳細を見る

カストロの暗殺計画といえば600回以上に及ぶCIAの暗殺未遂を思い起こされる。アンクルサムにとって日増しに目障りになっていたカストロだが、この作品はケネディ大統領政権下にCIAが亡命キューバ人という駒をキューバのヒロン海岸に侵攻させたピッグス湾侵略事件が間近に迫った時期が舞台だ。この卑劣なヤンキーの侵攻の前にカストロを殺しておけば亡命キューバ人の侵略が上手くいくだろうと考えたCIAは様々な汚い手段を用いて暗殺を試みた。
しかしこの作品の面白い点はCIAだけでなく、冷戦下のもう一つの大国の諜報機関が登場する辺りだろうか。ネタバレになるのでこれ以上のことはここでは書かないが、史実などは巻末の脚注で解説されている点もありがたい。

カストロ謀殺指令〈下〉 (新潮文庫)カストロ謀殺指令〈下〉 (新潮文庫)
(2010/04/24)
デイヴィッド・L. ロビンズ

商品詳細を見る

冒頭で主人公のラメック教授がカストロの演説を聴くシーンがある
これは1961年5月13日に実際に行われたカストロの演説。1957年3月に大統領官邸を襲撃してバティスタを殺害し、権力の奪取をはかるという大胆な計画を企てて軍隊に玉砕された革命の殉教者を悼む演説だった。この時の演説の全文はスペイン語だが、ネット上で見れるDISCURSO PRONUNCIADO POR EL COMANDANTE FIDEL CASTRO RUZ, PRIMER MINISTRO DEL GOBIERNO REVOLUCIONARIO, EN EL ACTO DE RECORDACION A LOS MARTIRES DEL ASALTO AL PALACIO PRESIDENCIAL EL 13 DE MARZO DE 1957, CELEBRADO EN LA ESCALINATA DE LA UNIVERSIDAD DE LA HABANA, EL 13 DE MARZO DE 1961.
ここでは原文を交えて小説で取り上げられた箇所を紹介したい

Estudiantes;
Trabajadores;
Ciudadanos todos:
学生、労働者、市民のみなさん
Fidel Castro Speaking_0016

Y ese hecho nos dijo mucho sobre el carácter de ese señor, y siempre aprovechando para regar detrás su insidiosa afirmación de que él quiere al pueblo, pero no quiere al Gobierno Revolucionario. Pues bien, sepa el señor Kennedy que el Gobierno es el pueblo (APLAUSOS y EXCLAMACIONES DE: “¡Fidel, Fidel!”);
「ケネディ大統領は機会を見つけては、革命政府ではなくキューバの民衆を愛してずる賢くいいつづけている。よろしい、だったら、セニョール・ケネディにわからせてやろう。
政府こそ民衆だと。」
群集が「フィデル、フィデル!」と叫んだ。カストロは完璧なタイミングで言葉を切ると、群衆が勢いづくのにまかせた。
sepa el señor Kennedy que él no puede separarnos del pueblo, como nosotros no podemos separarlo a él de los monopolios y de los millonarios (APLAUSOS);
「ケネディにわからせてやろう。われわれを民衆から引き離すことはできないと。
彼を独占企業と大富豪から引き離すことができないように」
またしても拍手喝采。
que pueblo y Gobierno Revolucionario es en Cuba hoy una sola cosa, como millonarios, usureros y Gobierno es hoy en Estados Unidos una sola cosa (APLAUSOS); que este no es Gobierno de casta enriquecida, que este no es Gobierno de ladrones, que este no es Gobierno de explotadores, que este no es Gobierno de politiqueros, que este no es Gobierno de espadones, ¡que este es un Gobierno del pueblo, por el pueblo y para el pueblo! (APLAUSOS); ¡la Revolución de los humildes, por los humildes y para los humildes! (APLAUSOS)
「こんにちのキューバでは民衆と革命政府はおなじものである。こんにちのアメリカでは大富豪と高利貸しと政府が一枚岩であるのと同じように」
「これは、金持ち階級が牛耳る政府でも、泥棒の政府でもない。搾取者の政府でも、けちな政治家の政府でも、高官の政府でもない。これは人民の、人民による人民のための政府なのだ。これは庶民の、庶民による、庶民のための革命なのだ!」
大衆郡は熱狂した。カストロは国民に轟きにつつまれて立っている。ラメックは残ったビールを掲げて称賛した。

カストロの演説は実際に聴いたことがある人は分かると思うが、まるで詩を読んでいるというか、演説の内容はともかく聴衆を圧倒させるだけのカリスマを感じさせられる。それはヒトラーのようなただ怒鳴るだけの演説でもない。このことは彼の友人である作家のガルシア・マルケスが詳しく解説しているのでまた別の記事で書くが、この小説の主人公のラメック教授も彼のカリスマに魅了される。
しかし言っている内容はケネディに対する非難で、ラメックにとっては祖国に対する侮辱でもあるのだ。


The Betrayal GameThe Betrayal Game
(2009/03/24)
David L. Robbins

商品詳細を見る

この本の原題はThe Betrayal Game。僕はカストロ謀殺指令よりこっちの題名の方が好きだ。この小説の内容を一言で表現するなら、冷戦下のThe Betrayal Gameと言い表せるだろう。言わばこの暗殺騒動はチェスゲームであって、CIAは何手先も先読みして巧妙に駒を指していく。アメリカ人、ソ連、キューバ人それぞれにとってカストロはどのような存在なのか?そのような視点でこの小説を読み進めていくと面白いだろう。
ピッグス湾事件とカストロ暗殺計画はケネディ政権の汚点で、陰の歴史なだけにあまり知られていないが、このあたりのいきさつやCIAの様々な汚い暗殺計画はCIAフリーマントル∥著 ; 新庄哲夫∥訳で詳しく解説されてるらしいのでまた機会があったら読んでみようと思う。
話は変わるが、この小説にはよく、ラム酒のSiete(七年もの)をラメックが飲むシーンがある。キューバと言えば砂糖、サトウキビつまりラム酒だ。ヘミングウェイもダイキリを愛飲していた。この小説を読む終えて無性にラム酒が飲みたくなってしまったw


スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://hastasiempre.blog104.fc2.com/tb.php/37-25e11b2a
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。