先日もブログで紹介した「週刊マンガ世界の偉人」。ウィキペディアに偉人のラインナップがあり、それぞれの職業欄があるが、ひとつ変わった職業があった。「共産主義活動家」だ。。。

漫画執筆者には、安彦良和と記されていた。安彦さんは、僕の好きな「機動戦士ガンダム」ではキャラクターデザインおよび作画ディレクターを務められた。「週刊マンガ世界の偉人」のゲバラ号は漫画個所は二十数ページだけなので、本屋で数分立ち読みして読了することが可能だが、前の記事で書いた通り安彦さんの絵が良かったので買って来ました。

週刊 マンガ世界の偉人 2013年 1/27号 [分冊百科]週刊 マンガ世界の偉人 2013年 1/27号 [分冊百科]
(2013/01/15)
不明

商品詳細を見る


1968年、安彦良和さんはベトナム戦争に反対する学生団体「ベトナムの平和を守る会」を結成し、リーダーとして学内外で反戦運動を展開されたそうだ。68年といえばゲバラがボリビアで倒れた年。今回、安彦さんが手がけられた作品は、そのボリビア戦が描かれている。

とりわけこの作品でよかった点は、日系ボリビア人、フレディ・マエムラにスポットが当てられていた点だ。マエムラさんについては、その生涯を記した伝記、『革命の侍-チェ・ゲバラの下で戦った日系二世フレディ前村の生涯』に詳述されている。この伝記は、フレディ・マエムラさんのボリビアにおける最期の戦いから描かれ、次に幼少時代まで遡り、キューバへの留学、ボリビア戦に参加した経緯が記されている。

漫画内の台詞は、この伝記に記されている内容に忠実であった。ネタバレになるので詳述しないが、マエムラさんの最後は悲惨なものであった。幼少期に不遇な目に遭っている同じ年頃の少年を目撃し、貧しい人を救える医者になることを決意、そして医者になるためにキューバへ留学し革命家への道を歩んでいった。62年にキューバ入りされたのですが、この年はこのブログで何度も取り上げたあのキューバ危機が勃発した年。マエムラさんはこの危機の際、医学生として闘われたのだが、このことについては別の記事で書いてみたい。

偉人伝に話を戻すが、そこで描かれているのは、子供向けの雑誌にしては、あまりにも残酷な革命の現実であった。どう残酷なのかは、この雑誌を本屋で手にして確かめて欲しい。

革命、というよりここでは内戦の惨さが描かれていたといった方が正確かもしれない。キューバ人も、バティスタ独裁打倒のために同国人同士で闘い、プラヤ・ヒロン侵攻時も亡命キューバ人が革命戦士と対峙した。同国人同士が、銃口を向けあうことほど悲惨なものはない。マエムラさんはボリビア戦でこの点について、どのように感じられていたのだろうか。上述の惨い現実だが、この作品を通じて安彦さんは、革命とは映画の様に格好のいいものではないことを子どもたちに伝えたいがために、遭えて描かれたのではないかと思う。

機動戦士ガンダムの人気キャラクター、シャア・アズナブル大佐の言葉に次のようなものがある。
よく見ておくのだな。実戦というのは、ドラマのように格好の良いものではない。
ガンダム名言集より
アムロ・レイが搭乗するガンダムが、無慈悲にジオンのモビルスーツや宇宙戦艦を破壊していく様を、テレビで観戦しながら、ニュータイプ、ララァに諭した際の言葉だ。
革命とはドラマの様に

安彦さんが描かれたのは、革命の悲惨さだけではない。
マエムラさんがボリビア軍に捕えられ、ゲバラの居場所を言うよう尋問された際の、頑なに黙秘を貫いた様、最後まで威厳を保った様が見事に描かれている。日系人ならではの気質、まさにマエムラさんの伝記のタイトル「革命の侍」に相応しい最期であった。革命が志向する理想を最後まで信じ、革命に対する忠義を尽くしたマエムラさん。

侍といえば、西洋人のイメージからすれば丁髷、着物、刀といったところだろう。それに対し、マエムラさんは褐色の肌で、手に持っていたのは飛び道具の小銃、抱いていた思想は共産主義であった。しかし肝心なことは、外面ではなく、日本が古来より大事にして来ている精神性の面でのサムライに違いない。今、大河ドラマ「八重の桜」を観ながら書いているのですが、このドラマでも同じメッセージを視聴者に伝えていた。

マエムラさんは、革命を通じ、ゲバラが追及した「新しい人間」であろうと努められたが、同時にサムライでもあった。マエムラさんを通じ、安彦さんは日本人としての誇り、日本人としての美徳の大切さを子供たちに伝えたかったのではないかと思う。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://hastasiempre.blog104.fc2.com/tb.php/466-0fdd98b9