FBでも何度か紹介した「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」。デモクラシー・ナウで紹介動画を観て、このドキュメンタリーの主人公ヘンリー・A・ウォレスに魅かれました。

オリバー・ストーンの「語られざる米国史」前篇
今日BSで正午から第1回と2回放送されていました。日本語吹き替えの語りも悪くはないんですが、副音声に切り替えるとオリバーストーン監督のナレーションを聴く事が出来ます。チャンネルで字幕を入れてみると、分かり易い日本語字幕が表示されます。
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 BS世界のドキュメンタリー
第2回 ルーズベルト、トルーマン、ウォレス

第二次世界大戦を戦った指導者は、(大日本帝国の東条英機などの例外はあるが)抜群のカリスマを以って自国民を奮い立たせた。上記のFDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)、ヒットラー、チャーチル、スターリンの演説動画からもそのことが分かる。大恐慌後、世界中が迷走する中、ナショナリズムが高まり世界大戦へと発展。連合国と枢軸国が血みどろの総力戦を繰り広げた。。



凄まじい世界大戦を他所に、合衆国内では戦後の戦略が語られていた。ヘンリー・ルースは戦後、合衆国が覇権を握ることを志向し「 アメリカの世紀(American Century)」を唱えた。これに対し、帝国主義を毛嫌いしていたFDRの副大統領を務められたウォレスさんは42年の演説で「人民の世紀」を提唱された。

Some have spoken of the "American Century:" I say that the century on which we are entering—the century which will come out of this war—can be and must be the century of the common man.
ある人々は「アメリカの世紀」について述べています。しかし私たちが戦後迎える世紀は「人民の世紀」であると、そうでなくてはならないというのが私の見解です。

この演説はこのドキュメンタリーや同タイトルの書籍でも取り上げられています。the century of the common manは前者では「庶民の世紀」後者では「人々の世紀」と訳されていましたが、ちょっとこれはどう訳されるべきか難しい所ですね。。。僕は「人民の世紀」がぴったりだと思いましたが。。
オックスフォード英英辞典ではcommonとはordinary; not unusual or specialと記されています。

第二次世界大戦は凄まじいカリスマを持った指導者が国民を率いた時代でしたが、一人一人の人民の声が反映される世界が戦後に築かれることを志向されたウォレスさん。このような方がFDRの後継者となれば、戦後の世界の在り方も変わっていたに違いありません。しかし上記のデモクラシー・ナウの動画でも紹介されているように、ウォレスさんは政界から葬り去られます。

戦時中に行われた民主党大会でウォレスさんが大統領になることを恐れた輩が政治工作を行い、操り易い凡人のトルーマンを大統領に仕立て上げました。フランク・キャプラ監督の「スミス都へ行く」で描かれたような汚い政治工作が現実世界でまかり通っていたことを示すため、ドキュメンタリーでは下記の箇所が挿入されていました。

I guess this is just another lost cause, Mr. Paine...
また失敗に終わってしまいましたねペインさん。。。

リンカーンの記念碑に刻まれている民主主義の精神Government of the people, by the people, for the peopleなどもはや合衆国には存在しない。

こうしてウォレスさんが提唱された「人民の世紀」も失敗に終わった(lost cause)。副大統領となったトルーマンはFDRが戦時下で亡くなった後大統領に就任。FDRが築いてきたソ連との関係はトルーマンによってぶち壊された。ルースが唱えた「アメリカの世紀」を実現するためにトルーマンを操る輩は、大統領に広島、長崎への原爆投下を選択させるのだった。。

合衆国が戦後有利な世界を築くためにこのような大虐殺がまかり通っていいのだろうか。このドキュメンタリーを観た大抵の人は少なからず憤りの念を感じるだろうが、トルーマンはいわば合衆国の覇権を築くためのマシーンに過ぎない。トルーマンと言えば去年彼の孫が広島を訪問し、そのことを書いた際、彼の日記を紹介した。
2012.08.06 このような蛮行は二度と繰り返されてはいけない~カストロさんが広島に残されたメッセージ~

カストロさんは2010年に被爆者と対談された際、FDRだったらトルーマンの様に原爆を落とすような蛮行はしなかったはずだと言われていた。確かにその通りだろう。彼は終戦まじかで亡くなったが、FDRの真の後継者であったはずのウォレスさんは原爆投下に異を唱えられている。

戦後世界は冷戦を迎え核戦争の危機がキューバで起きたが、もしウォレスさんが終戦時に合衆国大統領だったらこのような事態にはなっていなかったに違いない。
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