終戦70周年を迎えた今年、広島では平和公園で行われた式典では海外から過去最多となる100か国の代表を含む、およそ5万5000人が参列されました。最も注目されたのが核戦争の危機、いわゆるキューバ危機の当事者であった亡きケネディ元合衆国大統領の娘ケネディ駐日大使。終始、硬い表情を崩さず早々と会場から立ち去られたそうです。合衆国のヒロシマに対する姿勢を考えると、大使としては発言を極力控えたいところなのでしょうか。
広島「原爆の日」で平和記念式典 NHK

 いずれにせよ各国の指導者が広島の平和公園を訪問することは重要なことに違いありませんが、一般の外国人観光客にもより多くの方に訪問していただきたいものです。書物やドキュメンタリー映画等で学ぶことも大事ですが、実際に広島を訪問されることでのみ得られるものがあるでしょうから。余談ですが、先月海外からの来日者に京都の神社や寺などをボランティアガイドとして紹介していたのですが、広島を訪問されて来られた方がいらっしゃいました。ボランティアですがガイドをしていると観光地では様々な質問を海外の方からされます。日本人とはまた違った視点から観られているので新たな発見があり逆にこちらが学べる点も多々あるのですが、ガイドの醍醐味の一つではないかと思います。

 海外からの来訪者の瞳にはヒロシマはどのように映るのか。ゲバラの広島訪問は周知されていますが、彼がヒロシマについて記した書簡はあまり知られていません。去年、ゲバラが帰国後記した「原子力の悲劇から日本は復興する」を紹介しましたが、ゲバラの鋭い観察眼と共に、彼の強い感受性がうかがえる箇所があります。

「印象的なのは、14年前に広島と長崎で起きた核爆発によってもたらされた病気で、今年106名の方が亡くなられたことだ。今日すっかり復興を果たした、その犠牲者の街を私は訪れた。アーチ状に縁取られた鉄筋と、その背後にある原爆が投下された建物の廃墟が、犠牲者の慰霊碑となっている。身元が確認できた7万4千名の方の名前が、その慰霊碑に刻まれている。灼熱の炎のなか、死んでいったヒトを目の当たりにした者達の、やり場のない憤り、果てしない絶望。
(…)
恐ろしい爆発の後に復興された広島では、何もかもが新しい。しかし消すことのできない悲劇の痕跡は、爆弾が投下された所に位置していた建物の、当時のまま残されたレプリカの中を漂っている。しかしながら、両者には連続性に欠けるように思える。この街を、あたかもすでに死んだものの再生のように見せることに、私は釈然としない。」
Recúperese Japón de la tragedia atómica.
Publicado en la revista Verde Olivo el 19 de octubre de 1959.

Ernesto Che Guevara en Japón. Viaje diplomático representando a Cuba. 1960

Posted by La Pastera Museo del Che on 2015年3月1日

広島城の前に立つゲバラ。戦火により数多くの城が消失しましたが、広島城もレプリカ。

ゲバラの訪日から半世紀以上の歳月が経ち、現在では29万7684人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められています。第二次世界大戦を生きて来られた方から記憶の伝承を次世代へ行うと共に、世界中の方に原爆が投下された広島、長崎だけでなく東京大空襲についても知って頂くことは、日本人に課せられた責務ではないでしょうか。そのためには、まず日本人自身が真剣に戦争が起きた背景、戦時中に起きた史実に向き合わなければなりません。

関連記事
【広島】
2014.08.03 ゲバラの目に映った広島~トリスタン・バウアー 監督の作品の冒頭、バジェホの「黒い使者たち」朗読から読み解く~
2012.08.06 広島で抱いた想いを糧に~ゲバラが記した"平和へのメッセージ "~
2012.08.06 このような蛮行は二度と繰り返されてはいけない~カストロさんが広島に残されたメッセージ~
2010.09.23 カストロさん、日本の被爆者の声を聞くFidel con los integrantes del Crucero por la Paz
【核兵器】
2015.06.03 13キューバ危機の遺跡~グアンタナモ海軍基地に狙いを定めていたソ連の戦術核兵器~
ireihi.jpg
広島訪問時に撮影しました慰霊碑
原水爆禁止2015
「5人の英雄」のひとりフェルナンド・ゴンサレス・ジョルトさんがキューバ諸国民友好協会(ICAP)副総裁として原水爆禁止2015年世界大会に参加されました。
写真:キューバ大使館提供 Foto: Embajada cubana en Japón/Facebook
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://hastasiempre.blog104.fc2.com/tb.php/615-ba2d2b08