バルガス・リョサがヘミングウェイやフィッツジェラルドら巨匠の小説を論じた「嘘から出たまこと」 La verdad de las mentirasの冒頭に興味深いことが述べてあった。リョサは小説のやく煽動的性格について述べ、次のように小説の本質を語っている。(以下は寺尾 隆吉さんの訳。)

嘘から出たまこと嘘から出たまこと
(2010/02)
マリオ・バルガス ジョサ

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En efecto, las novelas mienten ―no pueden hacer otra cosa― pero ésa es sólo una parte de la historia.
La otra es que, mintiendo, expresan una curiosa verdad,que sólo puede expresarse encubierta, disfrazada de lo que no es.
事実、小説は-他に選択肢はない-嘘をつくが、これはあくまでジャンルの一側面にすぎない。単に嘘をつくだけではなく、正体を隠すこと、仮面をかぶることによってのみ表現できる興味深い真実を語るのである。


なかなか意味深なことを言っていますが、ちょっと難しいっすね。。そこでリョサは次のように説明している。

Dicho así, esto tiene el semblante de un galimatías.
Pero, en realidad, se trata de algo muy sencillo.
こんなことを言うとまるでチンプンカンプンかもしれないが、実は単純な話だ。
Los hombres no están contentos con su suerte y casi todos
―ricos o pobres, geniales o mediocres, célebres u oscuros―quisieran una vida distinta de la que viven.
Para aplacar ―tramposamente― ese apetito nacieron las ficciones.
人間は自分の運命には満足できないもので、ほとんど全員が-金持ちも貧乏人も、天才も凡人も、有名人も無名人も、-今と違う生活に憧れる。そんな欲求を-イカサマな形で-静めるためにフィクションは生まれた。
Ellas se escriben y se leen para que los seres humanos tengan las vidas que no se resignan a no tener.
En el embrión de toda novela bulle una inconformidad, late un deseo insatisfecho.
すなわち、誰もが求めてやまぬ理想の生活を提供するために書かれ、読まれるものがフィクションである。小説の根底には、いつも悪あがきが煮えたぎり、欲求不満が脈を打つ。



リョサは作家なので小説について述べているが、これはあらゆるフィクションに当てはまることだろう。
TVゲームなどが僕の世代の代表格だ。前の記事でも書いたタクティクスオウガにハマるのも、上記のリョサの語った理由からだろうかwフィクションの世界へ引き込むためには、小説ならリョサのように技法が必要だし、ゲームなら松野さんのような演出のセンスが必須だろう。リョサはこの本で過去の巨匠たちのそのようなセンスについて語っていて面白い。

リアルヒーローではあるが、僕がカストロやゲバラに憧れるのもリョサの上記の理由によるものなのかもしれない。
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